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written by Tametomo Itsuki

『投資信託』とは何か。特徴と仕組みを解説。【初心者向け】



投資を始めたい人
投資を始めるなら、投資信託が良いって聞いたんだけど…
調べても専門用語ばっかり。
基準価額?
信託報酬?
純資産総額?
よく分からない…

投資信託って何なの?

こういった疑問に答えます。


もくじ

  1. 『投資信託』って何?
  2. 『基準価額』とは投資信託の『価格』。
  3. 『信託報酬』は投資信託の『コスト』。
  4. 『純資産総額』が大きく、増えていることが大事。
  5. 『繰り上げ償還』には要注意。
  6. 『信託報酬』はどこから引かれる?
  7. 『投資信託』は倒産リスクを回避できる商品。
  8. 海外型の投資信託は外貨を持つことと同じ。円安対策に有効です。
  9. まとめ


投資信託って何?

投資信託は資産運用に有効なツールです。

そもそも投資信託とは何かというと、様々な株式や債券を集めて分割にして販売しているセット商品です。

個別銘柄に投資をするとなると最低投資額が高額であったり、銘柄の選定が難しかったりします。

そういった投資家の悩みを解決するための商品です。

投資信託は投資家からお金を集め、そのお金で株式や債券を買い付けます。

そして、それを分割して投資家が投資しやすくしています。

これによって、少額から何十、何百銘柄といった銘柄に分散投資をすることができます。


source : 一般財団法人 投資信託協会

少額から投資ができて分散が効いているため、初心者からベテランまでおススメの運用方法です。

100円から積み立てられるので、積立て投資とも相性が良く心理的なハードルも低いです。

証券会社で月々の積立て設定をしておくと自動で買い付けをしてくれて手数料も無料なものが多いので、簡単かつ低コストです。

個別銘柄に投資をしたからといって投資信託の運用成績に勝てるという訳ではありませんので、投資信託の積立て投資は1つの良案になります。

以降では投資信託の用語『基準価額』『信託報酬』『純資産総額』について説明します。


『基準価額』とは投資信託の価格。

『基準価格』とは投資信託の1口あたりの価格のことです。

投資家はこの価格に基づいて取引をすることになります。

以下は特に重要ではありませんが、基準価額の計算方法を書いておきます。

基準価格は以下のように計算され、1日に1回更新されます。


source : 一般財団法人 投資信託協会

『純資産総額』は投資信託が購入している株式の価値からコストを差し引いた投資信託全体の価値のことです。

『総口数』は投資家が購入している投資信託の総数です。

つまり、基準価額は『投資信託の価値』を『口数』で割った数字です。


例えば、モーニングスターでeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を調べてみます。


source : モーニングスター

画面左上で『基準価額』の値段が確認できます。

その下のチャートが基準価額の推移です。

基準価額について1つ注意しなくてはいけないのは、投資信託の基準価額は株価のように割高、割安の概念がないことです。

なので、基準価額が高いからといって『割高だ』という判断はできません。

内容の違いによる価格の違いだと思って付き合うのが良いです。


『信託報酬』は投資信託のコスト。

『信託報酬』は投資信託の『コスト』です。

これはファンドを運用する運用会社に管理手数料として支払われます。

当然ですがコストは低いほうが良いです。

このコストは『インデックスファンド』と『アクティブファンド』で大きく異なります。

『インデックスファンド』は安いもので0.1%のものもあります。

このレベルであれば、ほとんどコストとして考慮しなくても大丈夫です。

信託報酬は全世界型や米国型、バランス型などで異なるので、同じ種類の投資信託ごとで比べると良いでしょう。

一方でアクティブファンドは比較的信託報酬が高めです。

モノによっては2%を超えるものもあります。

こういったコストはリターンを圧迫することになります。

それを凌駕するリターンがあればアクティブファンドに投資する意義は一定の意味を持ちますが、全てのアクティブファンドがインデックスファンドのリターンを上回ることができないのが現実です。

例えば、インデックス投資の権威、チャールズ・エリスは著書『敗者のゲーム』の中でこのように述べています。

「市場平均を上回る」という目標に反して、アメリカの運用機関は全体として市場平均に負けている。


またS&Pの調査で、多くのアクティブファンドがベンチマークをアンダーパフォームしているということが報告されています。

SPIVA(S&P INDICES VERSUS ACTIVE)

こういった調査結果もあることからアクティブ投資よりもインデックス投資の方が報われる可能性が高いことが分かります。

このことから投資初心者に限らず、経験が長い方でもインデックス投資が最も効率的であると言えます。

また、アクティブファンドは目的に応じた投資手法が取られているので、同じ種類の投資信託で比べることができず、コストの妥当性が評価できません。

その点も非常に難しいところです。

費用対効果の面で考えると総合的にインデックス投資信託の方がおススメです。


『純資産総額』が大きく、増えていることが大事。

『純資産総額』はファンドの運用資産の大きさを表す指標です。

純資産総額の大きさと推移を確認することで、ファンドが安定的に運用できているかを確認することができます。

投資信託で資産を運用する上で純資産総額が多く、安定して増えていくことは大事です。

なので、ファンドを選ぶ際は純資産が多く、資金が流入しているファンドを選ぶと良いです。

例えば、モーニングスターで資金の流出入を調べてみます。

上の図が資金が流入しているファンド、下の図が資金が流出しているファンドです。


source : モーニングスター


source : モーニングスター

上のファンドは棒グラフが上に伸びていて資金が毎月順調に増えていることが分かります。

一方で下のファンドは棒グラフが下に伸びていて資金が毎月減っています。

このまま資金流出が続くと運用が難しくなってしまいます。

資金流出はファンドの解約者が多いと起こります。

運用が出来なくなってしまう恐れがあるので、資金流出が続いているファンドは選ばないようにしましょう。

また、投資信託は受託者全体の共同運用なので、どのような人がどのような方法で運用しているかも大事です。

純資産総額が順調に増えているということは積立て投資家がいる投資信託であるということです。

あなたが積み立て投資で売らない方針の人なら、同じ考え方の投資信託を選んだ方が良いです。


純資産総額の減少による『繰上償還』には要注意。

上述の純資産総額が小さいと何が問題かというと、『繰上償還』されてしまう可能性があるためです。

投資信託は運用期限が定められています。

例えば10年とか無期限(弊ブログでは無期限をおすすめしています)といったように『いつまで運用しますよ』ということが目論見書などに書かれています。

繰上償還とは、この期限が訪れる前に運用をやめてしまうことです。

繰上償還がされると、その時点の基準価額で保有している投資信託は強制的に解約され、保有口数に応じた償還金が支払われます。

平均購入金額が基準価額を上回っていれば実益となって償還されるだけですが、下回っていた場合には含み損が実損になります。

せっかく長期で運用しようと思っていたのに繰上償還されてしまい、タイミングが悪く含み損の状態であると非常に残念です。

そういったことにならないように、投資信託を選ぶ際、運用中にも純資産総額と資金流出入はしっかりとチェックしておくと良いでしょう。


『信託報酬』はどこから引かれる?

このチャプターは少しテクニカルな話なので、投資信託のコスト構造に興味が無い方は飛ばして頂いても大丈夫です。

知らなかったからといって運用には関係ありません。


さて、繰り返しになりますが、基準価額は以下の式で計算されます。


source : 一般財団法人 投資信託協会

この計算式の純資産総額の部分を分解すると『総価値 - 信託報酬』となっており、これを総口数で割ることで基準価額が計算されています。

つまり、毎日総価値から一定額が信託報酬によって減価されていることになります。

コストは普通、自分でお金を払って負担しますが、投資信託では資産からコストを削って基準価額に反映しています。

これが投資信託にコストを支払っている感覚を鈍らせる原因でもあります。

この計算からコストの高さがリターンを圧迫する要因が理解できます。

純資産総額をさらに分解して計算すると

株数 × 株価 + 配当 - 信託報酬 = 純資産総額

となります。

ここで配当が2%、信託報酬が2%だったらどうなるでしょう。

この投資信託は配当分のリターンを全て信託報酬として運用会社に支払っていることになります。

こういったことから、コストの感覚は非常に大事にした方が良いです。


『投資信託』は倒産リスクを回避できる商品。

投資信託のメリットの1つとして『潰れる』リスクを回避できるということがあります。

株式を運用していると、その企業が倒産すれば株式の価値はゼロになります。

一方で投資信託の場合は運用に関係する企業が倒産しても資産は守られる仕組みになっています。

これは投資信託の運用・管理の方法に理由があります。

投資信託は以下の図のような構造で運用・管理がされています。


source : 一般財団法人 投資信託協会

投資信託に関わる金融機関は運用会社、信託銀行、販売会社です。

まず、運用会社はファンド資産を信託銀行に預けて運用をしています。

運用会社は投資信託の運用を『指示するだけ』なので、資産を直接保有することはありません。

よって運用会社が倒産しても他の運用会社に移管するか繰り上げ償還されます。

繰り上げ償還されることは望ましくありませんが、資産は確保されます(元本は保障されません)。

次に信託銀行は投資信託の財産を保管・管理していますが、自行の資産とファンド資産は分別管理することが法律で義務付けられています。

従って、信託銀行が破綻しても他の信託銀行に移管されて継続的に運用するか、その時の基準価額で解約されることになります。

最後に販売会社ですが、販売会社は投資信託という商品を販売するだけなので、ファンド資産を直接保有することはありません。

このような仕組みで運用されるため、投資信託はどこかが潰れても資産が無くなることはありません。

一方で株式はどうかというと、企業が倒産したら株主はそのリスクを負うことになります。

つまり、株式の価値はゼロになります。

正確には、会社を精算した時に残った財産を受け取る権利である『残余財産分配権』により、出資比率に従って分配を受け取ることができます。

しかしながら、現実的には企業が倒産する時にはほとんどの場合債務超過に陥っています。

そして先に債権者に債務の返済が行われるため、株主への分配を受け取れるケースは稀です。

こういった株式の倒産のリスクに比べると、投資信託は倒産による財産の棄損リスクをゼロにできる珍しい金融商品であることが分かります。


海外型の投資信託は外貨を持つことと同じ。円安対策に有効です。

海外資産への投資を考えている方は『外貨を持つこと』も期待していると思います。

外貨を持つことの目的の1つに円安対策があります。

なぜ円安対策が必要かというと、生活に必要な資金を守るためです。

円は日本の通貨であり、日本は生活に必要な食料や原材料、エネルギーを海外から輸入しています。

円安になる、ということは円の購買力が相対的に下落していることを意味します。

そうなると海外から輸入している食料や原材料、エネルギーが日本円ベースで高くなります。

つまり円だけを持っていて円安が進行すると、輸入品に支払う円が増えてしまうということです。

この時に外貨を保有していれば、円は安くなるものの外貨が高くなるのでトータルの価値は変わらない、ということでリスクヘッジができます。

さて、そういったリスクを回避するために外貨を持ちたい人が、円建ての海外型の投資信託を購入するに当たって出てくるのは、

『円建ての投資信託で海外資産に投資をすることが、外貨建ての資産を持つことになるの?』

という疑問です。

結論から言うと、

円建ての投資信託で海外型の資産を持つことと外貨を持つことは同じ効果があります。


例えば、eMAXISslim先進国を1万円購入すると、様々な国、銘柄、通貨に分散されます。

アメリカ、イギリス、EU、スイス、カナダ、オーストラリア等々、それぞれの国の通貨で様々な銘柄を買付をします。

そしてドル、ユーロ、ポンド等に毎日、その日のレートで円にわざわざ直しているのです。

円はあくまでも決済用の通貨でしかありません。

例えば、投資信託の値段が全く変わらず、通貨だけ円安に動くと、投資信託の基準価額はどうなるでしょう。

答えは『価格が上がる』です。

逆に円高になれば下がります。

極端な話、様々な通貨に対して円が一方的に安くなり続ければ、投資信託の基準価額は上昇し続けます。

日々の投資信託自体の値動きで見えづらくなっていますが、円で買い付けする海外資産を購入することで為替のリスクヘッジができるということです。

通貨の価値は相対的なもので、2つの通貨があって、どちらかが買われれば、もう片方の通貨は売られるということです。

単純に天秤の関係です。

10種類の通貨があって、全てが同時に下がることはありません。

何かが売られるなら、何かが買われるのが通貨だからです。

この考え方で通貨分散をすることで投資信託に投資をすることで、為替リスクを減少させることができます。


まとめ

投資信託は様々な株式や債券を集めて分割にして販売しているセット商品です。

1つの投資信託を購入するだけで、多くの株式や債券に分散された資産を持つことができます。

少額から始められるので、積立て投資との相性も良いです。

基本的な用語として

  • 基準価額
  • 信託報酬
  • 純資産総額
  • 繰上償還

があります。

この辺は投資信託を選ぶ際にも使うので、覚えておくと良いと思います。

仕組み上、株式のように企業が倒産して価値がゼロになることはありません。

海外型の投資信託を持っていれば、円建てであっても外貨建ての資産を持っているのと同様に円に対する為替リスクを緩和することができます。

投資信託はこういった特徴があり、資産形成の有用なツールとなります。

弊ブログでは、これから投資を始める方には投資信託をおすすめしています。

▶参考:『株式投資の始め方5つの手順』。【完全初心者向け】

もちろん、ベテランの方であっても個人の投資の目的によって投資信託が最も効率的な資産形成、資産運用のツールになるでしょう。

こういった特徴を理解した上で、自分に合った投資信託を見つけ、継続的に投資をすることが自由な人生を手に入れるための手段となります。


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Written by Tametomo Itsuki.

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