【XOM】エクソンモービルは高配当の石油銘柄。スーパーメジャーの一角で連続増配銘柄。
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もくじ
概要
エクソンモービルは石油業界最大手でスーパーメジャーの一角です。
高配当かつ連続増配銘柄です。
連続増配の年数は37年にもなります。
原油と天然ガスの探鉱・開発・生産・輸送・精製、石油製品の製造・輸送など上流部門から下流部門までトータルで事業を展開しています。
エネルギーセクターはここ数年割安に放置されており、エクソンモービルも例外ではありません。
背景には原油価格の下落による業績の悪化があります。
ここをどうとらえるかが投資判断の鍵になりますが、管理人は一定量を投資しています。
というのも『近年のリターンが良い』→『投資をする』、『近年リターンが悪い』→『投資をしない』という判断は典型的な後追い投資になるからです。
なので数年間リターンが低迷している銘柄にも一定量投資をし、次の上昇サイクルを待った方が得策と言えます。
エクソンモービルは配当率が高いので、こういった低迷時期に購入することで配当再投資の効果も大きくなります。
株価、配当率とPERの推移
株価の推移
2014年のトップから現在は半値程になっています。
特に2020年は原油価格の暴落もあり大暴落しています。
株価から見る投資家の期待感はありません。
配当率とPERの推移
・平均配当率 : 3.3%
・平均PER : 17.4倍
平均配当率や平均PERを下回る水準が相対的に割安と言えそうです。
PERは18倍程度が平均ですが、年々上昇しているようにも見えます。
これは株価が下がる以上に後述するEPS(1株あたりの当期純利益)が減少しているためです。
言い換えると、EPSから見た株価はもっと下がっても良さそうなものだな…という感じがします。
一方で配当率は一貫して上昇し続けています。
これは株価が下がる一方なのに対して、後述するDPS(1株あたりの配当)が上昇しているためです。
エクソンモービルは連続増配銘柄なので、株価が下がる→増配する→配当率は上がります。
連続増配銘柄は株価が変わらなくても長期間保有し配当額が上がることでYoC(Yield on Cost:買値に対する配当率)が自然と上昇していくのが魅力です。
ただし、注意しなくてはならないのは近年の原油価格による減配リスクです。
同業種のロイヤルダッチ・シェルは2020年に60年以上なかった減配を発表しました。
エクソンモービルも業績の悪化は避けられないので、魅力的な配当率は割り引いて考える必要がありそうです
ちなみに管理人のエクソンモービルのYoCは6.8%です。
過去の実績推移
以下は過去10年間におけるJNJの業績をMORNINGSTARのデータを元に作成しています。
売上高の推移
売り上げは10年前から見ても減少しています。
ここ数年で下落に歯止めがかかっていますが、回復する兆しはありません。
営業利益、純利益、営業利益率の推移
営業利益や純利益は売上高よりも下落しています。
売上高を含め、業績の悪化は原油価格の下落によるものと推測されます。
EPS、DPS、配当性向の推移
一株当たり利益(EPS)も売り上げ、営業利益、純利益同様にデコボコです。
安定感は見られません。
一方で一株当たり配当(DPS)はきれいな右肩上がりです。
増配は続いていますが、配当性向は上昇し続けており100%を超える場面もあります。
同業種のロイヤルダッチ・シェルは2020年に大幅な減配を発表していますが、エクソンモービルは維持しています。
ただし、利益が伸びてこないと配当の伸びも期待できないうえに、減配のリスクもあるため、今後の動向には注意が必要です。
発行済み株式数の推移
企業が自社株買いを実施すると1株当たりの価値を相対的に上げることができるので、自社株買いは盛んに行ってほしいところです。
しかし、2015年から自社株買いが止まっています。
業績の悪化時期と同時期ですので、配当を優先して自社株買いを止めたようにも写ります。
業績が厳しいことはここからも分かります。
キャッシュフローの推移
かろうじてフリーキャッシュフローはマイナスにはなっていませんが、キャッシュリッチとは言い難いです。
エネルギーセクターだとフリーキャッシュフローがマイナスなのは良くあることなので、セクター内で比べると良いほうです。
エネルギーセクターは投資キャッシュフローが多くかかるためこのようなキャッシュフローの構造になってしまします。
業績面では連続配当以外はあまりいいところが見当たりません。
ただし、今の業績が悪いから今後のリターンが悪いかというと、必ずしもそうではないのが難しいところです。
過去のリターン
続いて、過去のリターンについて確認していきます。
以下のリンクはPortfolio Visualizerにて【XOM】エクソンモービルとS&P500のETFであるSPYと1~4の条件で比較したものです。
『XOM vs SPY』 BackTest result
- 2000年から2020年までのXOMとSYPを
- 初期投資10,000ドルで
- 配当再投資した場合のリターン
配当を再投資した場合のトータルリターンは2019年頃まではエクソンモービルがS&P500をアウトパフォームしています。
2020年には原油の先物価格がマイナスになるなど、原油市場の大暴落に伴いリターンも大暴落しています。
ただし、S&P500との相関性は低く、ポートフォリオの分散効果を高めることはできそうです。
年間リターンを見てもあまりパッとしません。
ここ数年はS&P500に負け通しの状態です。
ただし、過去のリターンが低かったからといって将来のリターンも低い訳ではありません。
逆にこういった暴落している時期はエクソンモービルを安値で拾えるため、投資妙味があるかもしれません。
所感
エクソンモービルは近年の業績が冴えません。
連続増配銘柄らしく業績が悪くても増配を維持する姿勢は好感が持てます。
ただし、良くも悪くも原油価格と一蓮托生な感じです。
逆に言うと原油価格やエネルギーセクターが総悲観の時期は投資妙味がある時期かもしれません。
My Portfolioを見てもらうと分かると思いますが、管理人はエクソンモービルにも一定額を投資しています。
これはジェレミー・シーゲルの著書『株式投資の未来』にある『成長の罠』に陥らないようにするためです。
成長の罠とは簡単にいうと『絶好調の国や地域に投資しても、そのような投資対象は割高のためリターンに繋がらない』ということです。
なので管理人は成長銘柄にポートフォリオを集中せず、一定の割合で業績は良くないものの配当率が高く増配している銘柄にも投資しています。
エクソンモービルはまさにこれに当てはまる銘柄で、このような銘柄に分散して投資をしたポートフォリオを持つことで、少しずつ経済的自由に近づくことができます。
Life is Free!!
Written by Tametomo Itsuki.