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written by Tametomo Itsuki

債券投資とは何か?リスクが低く、株式投資との相性が良い資産クラス。



アセットアロケーションに悩む人
アセットアロケーションには債券を入れたいなぁ。
でも債券投資って何なのかよく分からない…
債券の考え方を教えて欲しい。

↑ こういった疑問に答えます。

債券は国や企業にお金を貸すことで利息を得ることのできる資産クラスです。

株式と比べるとリスクは小さいですが、長期間の運用では株式よりもリターンも低いです。

今回は債券に投資することの意味、どのような債券があるのかを説明していきます。

もくじ

  1. なぜ株式のリターンを捨てて債券に投資するのか。
  2. 長期国債、中期国債、短期国債の動きの違い。
  3. 社債は国債とは異なる値動きのアセット。
  4. まとめ


なぜ株式のリターンを捨てて債券に投資するのか。

株式投資は企業が良い製品やサービスを創り出し、企業の価値を高め続けることで、その利益を株価上昇や配当によって得ることができます。

そして、株式は過去一貫して高いリターンを出しています。

▶参考:株式投資とは何か。完全初心者向けにわかりやすく説明します。

一方で債券は一定期間お金を貸し、借り手から利払いを受けて利益とする投資のため、本質的な価値の向上が望める資産ではありません。

比較的安定的ではありますが、長期的なリターンは株式に劣ります。

このことから長期的には株式のみに投資をすることが最適のようにも思います。

しかし一定の割合で債券に投資することの利点があります。

期待できるリターンが少ないにも関わらず、です。

それはひとえに資産全体のリスクを低くすることが出来るからです。

債券、特に米国債は株式との相関が低く、株式市場が下落する時に価格が上昇することが多いです。

これは債券の価格形成に関係があります。

一般的に債券の価格は金利と反比例します。

金利が上昇すると債券価格が下がり、金利が下落すると債券価格が上がります。

景気が悪化し株式が下落すると多くの場合経済対策のために金利を下げます。

従って株価が下落すると債券価格が上昇する仕組みです。

このような仕組みを利用して、株式と債券が逆の値動きをすることによって資産全体のブレ幅を小さくすることができます。

以下のリンクはPortfolio VisualizerにてS&P500のETF(SPY)と米国長期債券ETF(TLT)のバックテストの結果です。

【SPY & TLT】 BackTest result

例えば、米国の残存期間が20年を超える債券のETF(TLT)と、S&P500に連動するETFのSPYの過去の値動きを比較すると、TLTは2009年のリーマンショックや2020年のコロナショックに大きく上昇しています。

また、年間リターンでも、2008年、2011年、2014年、2020年は長期債券が株式のリターンを上回っており、長期のリターンでは株式が優位であるものの長期債券のリターンが高い時期もあります。

この現象はフライト・トゥ・クオリティ(質への逃避)と言われます。

米国債は国が発行する債券のため、お金が返ってこなくなるリスク、すなわちデフォルトリスクが極めて低く、最も安全な資産の一つです。

そのため、株式が大きく売られるような局面ではお金の逃げ場として買われることが多いです。

株式が下がっている時に価格が上昇するので、株式と合わせて所有していると株式のクッションになってくれます。

株式投資で資産を大きくするためには、相対的に株価が安くなっている時にどれだけ多く仕込めるかにかかっています。

そのためには暴落時に多くのキャッシュが無ければ買えません。

しかし、平時からキャッシュを多く保有しているとリターンも配当も減少してしまいます。

なので、平時にはある程度の配当が見込める債券に投資し、いざという時は債券を売り、株式購入に充てるという方法があります。

とはいうものの、これから先の10年が過去10年と同じように株式と債券が負の相関を示すとは限りません。

来年以降には正の相関を示す可能性もあります。

特に長期金利が低下している場合には債券価格は高値であり、積立てを実施する時期ではないかもしれません。

市場はある一定の法則性とそれ以外の無秩序で成り立っていて、過去10年で通用した戦略が機能しない可能性はあります。

裏を返せば、過去長期に渡って高いリターンを株式が出してきた実績も今後10年では通用しないかもしれません。

つまりなにが起こるか分からないからこそ、株式や債券に適度に分散して資産を守りつつ、有事の際には動けるよう準備しておくことが重要です。

その中で債券をどのように使っていくのかということを考えていきたいと思います。


長期国債、中期国債、短期国債の動きの違い。

例えば、株式指標のS&P500に連動するETFであるSPYと20年超の米国長期国債ETFであるTLTを50:50で組み合わせると、互いの下落を打ち消し安定したリターンを出します。

以下のリンクはPortfolio VisualizerにてS&P500のETF(SPY)、米国長期債券ETF(TLT)、これらを半々で持った場合のバックテストの結果です。

【SPY : TLT = 50 :50】 BackTest result

リーマンショックやコロナショックの下落を長期債券の上昇で緩和できているのが分かると思います。

SPYの下落をTLTが補い、TLTの下落をSPYが補いを繰り返し、1回/年の頻度でリバランス(資産価格の上下による資産バランスを元に戻すこと)をすることで高い安定性を維持しています。

リバランスをすることで、相対的に高値になった資産を売り、安値になった資産を買うことが出来るため、資産価値の上昇、下落に対する準備をすることができます。これをリバランスボーナスともいいます。

また、年間リターンを見てみても株式が不調な年に長期債券が好調であることが分かります。

リーマンショックの際にもSPY:TLT=50:50のポートフォリオは年間でわずかな損失しか出さなかったのは非常に心強いです。

一方で、このポートフォリオは長期国債への投資が多いので金利上昇局面では株式のみのポートフォリオよりもリターンが低くなる可能性があります。

事実、2016年から2017年にかけて株式市場が好調だった時期はSPYよりもリターンが低くなっています。

つまり好景気に賭けるなら株式に、不景気に賭けるなら長期債券に投資するわけです。

ただし、これから好景気になると予想したところで、当たるかどうかは誰にも分かりません。

チャートや配当率を眺めながら自分のリスク許容度にマッチするポイントを見つけ、基本的にはバランスを崩さないことが得策です。

長期国債は総合債券や短期債に比べてリスクが大きいことから、あらかじめ特性を理解して保有することが重要です。

特性を理解したうえであれば、攻撃的な防御力から不景気へのヘッジとしては有効なものになります。

中期国債や短期国債は長期国債よりも穏やかな値動きが特徴です。

これは金利からの影響が長期債券に比べて小さいからです。

実際に米国長期国債(TLT)と米国中期国債(IEF)、米国短期国債(SHV)の配当再投資のリターンを比べてみると以下のようになります。

以下のリンクはPortfolio Visualizerにて米国長期債券ETF(TLT)、米国中期債券ETF(IEF)、米国短期債券ETF(SHV)のバックテストの結果です。

【TLT & IEF & SHV】 BackTest result

また、先ほどと同様にSPYと半分ずつのポートフォリオでは以下のようなリターンになります。

以下のリンクはPortfolio Visualizerにて米国長期債券ETF(TLT)、米国中期債券ETF(IEF)、米国短期債券ETF(SHV)とS&P500のETF(SPY)を半々で組み合わせた場合のバックテストの結果です。

【SPY : TLT & IEF & SHV = 50 : 50】 BackTest result

金利が短くなるにつれて、リスクが小さくなり、リターンも小さくなっています。

債券の償還期間をどのぐらいの長さにするかは、このように組み合わせてみて自分の心地よい割合を見つけると良いと思います。

Portfolio Visualizerはバックテストを利用するのは無料(Excel、PDFへのアウトプットは有料)です。

アセットアロケーションの検証をするには非常に良いツールです。

こういったツールを使って色々な組み合わせを試してみて下さい。


社債は国債とは異なる値動きのアセット。

社債は国債とは異なり、企業が発行する債券です。

利回りは国債に比べて高いです。

以下のリンクはPortfolio Visualizerにて米国長期債券ETF(TLT)と米国投資適格社債(LQD)のバックテストの結果です。

【TLT & LQD】 BackTest result

特徴的なのは国債ETFのTLTが上昇している2009年と2020年で社債ETFのLQDは下落していることです。

債券の役割として株式のリスクをヘッジすることを目的とするなら、株式と同時に下落する社債はヘッジ効果を期待できません。

社債は高い利回りが期待できる一方で不況時にはボラティリティは低いものの株式と同様に下落します。

ここのバランスを取るのが難しい資産クラスかもしれません。


まとめ

債券は国債と社債があり、株式へのリスクヘッジを目的とするのなら国債が良いです。

国債は長期国債、中期国債、短期国債があります。

長期になるほどボラティリティが高く、株式のリスクを攻撃的にヘッジできます。


一方で社債は利回りは高いですが、株式のリスクヘッジは期待できません。

なぜなら社債は不況時に企業の信用下落と共に価格が下落するからです。

こういったそれぞれの特徴を考慮して債券への投資を考察し、自分の心地よいリスクとリターンの割合を見つけることで、長期的に運用できるアセットアロケーションを組むことができます。

僕はこういった特徴を利用して2020年2月までは米国長期債券ETFをポートフォリオに組み入れていました。

それまでのポートフォリオはトニー・ロビンズ氏の著書『世界のエリート投資家は何を考えているのか』で紹介されたレイ・ダリオ氏のオール・シーズンズポートフォリオを意識して債券投資に力を入れていました。

しかし、コロナショックで米国の政策金利が0%まで下落し、債券価格が上昇したうえに『利息は低い・下落余地しかない』と判断し売却しました。

これが原資となり、暴落時に株式を購入することができました。

再度、金利が上昇した段階で債券投資を検討する必要があります。


このように、債券は投資としても中期のトレードとしても利用することができます。

株式よりやや難易度が高いように感じますが、債券を適切に取り入れたアセットアロケーションを意識することで、より安定的な運用をすることができます。


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