『投資の目的と目標』を考えよう。『いつまでに』『いくら』必要なのかが明確になります。
投資をする上で必要なことは目的の明確化です。
目的を明確にすることで、運用中に起こる様々な困難に立ち向かうことができ、投資を長く続けることが可能になります。
▶参考:『なぜ』投資をするのか。強い目的意識が成功の鍵。
具体的な目的が決まると、数値で表せる目標が明確になります。
この目標に向けて行動していくことが目的の達成のためには必要です。
今回は具体的な投資の目的と目標を3つの段階に分けて考えていきましょう。
もくじ
『老後資金の確保』に必要な金額と方法
『老後資金の確保』を理由として投資を始める人は多いのではないでしょうか。
日本政府は65歳以降の老後資金として、年金以外に2,000万円必要と発表しています。
この数字が多いか少ないかは別として
『少なくとも2,000万円』
は老後資金として必要となってきます。
この金額を達成するための1つの方法として投資があります。
なぜなら、貯金だけで2,000万円を貯蓄するのは難しいからです。
具体的に見ていきましょう。
・今、35歳の人が
・65歳までに
・2,000万円用意するために
・いくら必要か
これを『貯金の場合』と『投資の場合』に分けて考えていきます。
例えば、貯金の場合で『月5万円貯金の場合』『30年後』の貯蓄額は
1,800万円(= 5万円 × 12ヵ月 × 30年)
となります。
『月5万円、30年間の貯金』では2,000万円に足りないということですね。
2,000万円を貯蓄するには
月5万6千円、30年間の貯金(= 5万6千円 × 12ヵ月 × 30年)
が必要です。
これだけの金額を30年間に渡って貯蓄し続けることは、全国民が可能とは思えません。
『明治安田生命2018年4月実施「家計」に関するアンケート調査』では50代世帯で『貯蓄がない』世帯は全体の18.8%で最多、貯蓄額1,000万円以下(夫回答)が50%を超えています。
同調査では
”日々の生活で精一杯で貯蓄をする余裕がない家庭も多い”
と述べられています。
つまり、多くの家庭では『月5万円の積立ては難しい』ということです。
では投資の場合はどうでしょうか。
投資をしなかった場合、年3%のリターンの場合、年5%のリターンの場合について考えてみましょう。
※1これらの計算は楽天証券等の証券会社サイトでも計算できます。
※2 FV関数にて計算
目標を2,000万円とし、リターンを全世界株式の平均リターンである年5%と仮定するならば、月々の積立額は
2万4千円/月※1
となります。
これは貯金の場合の約半分の積立額です。
ちなみに2万4千円を30年間積み立てても864万円にしかなりません。
これだけの差が期待できるのであれば、投資で老後資金を確保することは一考の価値ありです。
次に5万円/月、30年間積立てを先ほどと同様に年5%のリターンで運用したと仮定しましょう。
この場合の最終的な積立額は
4,162万円※1
となります。
もう少し控えめに3%/月の複利で運用しても2,900万円程になります。
3%~5%は世界の株式に投資していれば、過去の実績からは可能なリターンです。
同じ金額を積み立てていても、最終的な積立額は倍以上になる可能性があるということです。
もちろん投資はリスクを取ってリターンを得る手段なので、図のようにきれいな曲線にはなりません。
実際の総貯蓄額は図のように乱高下するでしょう。
また、『月々にもっと貯められる』
という方もいるでしょう。
例えば『月10万円貯金できる人』は30年間で『3,600万円』貯めることができます。
『老後資金の確保』という目的であるならば、リスクをとって投資をする必要はないのかもしれません。
ただし、前述の通り多くの人が『5万円/月の積立てが難しい』のが現状です。
老後資金の2,000万円を確保するためには
① 貯金ではなく投資
② 月々2万4千円
③ 30年間
④ リターン5%
というのが、1つの解決策になります。
『時間と場所に縛られずに働く』ために必要な金額と方法
例えば
『1億円手に入ったら、今の仕事を続けますか?』
と聞かれたらあなたはどのように答えるでしょうか。
答えが『YES!続ける!』という方は幸せです。
今の仕事に不自由感を感じていないでしょう。
投資をする必要はないかもしれません。
もし、答えが『NO!すぐにでも辞める!』
という方は、少なからず「なにか」のために自由を制限されて仕事をし、不自由感を感じているということでしょう。
日々の生活費のために長時間労働、出張、異動、転勤、上司の無茶な要望などに耐えているのかもしれません。
こういった不自由感を取り除き、人生の自由度を上げるために、投資をすることが1つの解決策になります。
なぜ投資が人生の自由度を上げる手段となるのでしょうか。
ここでは投資をしていない『一般的なサラリーマン』と、投資をしているサラリーマン『兼業投資家』のお金の流れの違いを見てみましょう。
投資をしていない『一般的なサラリーマン』のお金の流れは以下の図のようになっています。
給与収入は25万円を前提としています。
この例でのお金の流れは
仕事から給与をもらい → 給与から支出を払い → 残りを貯蓄する
となっています。
これが一般的なお金の流れであり、収入源は給与のみです。
当然ですが、給与が減れば余剰金は無くなり貯蓄ができなくなります。
では、投資をしているサラリーマン『兼業投資家』になると、どのようなお金の流れになるでしょうか。
例えば、このケースでは資産からの配当金が10万円/月入ってきています。
お金の流れは以下のようになっています。
仕事から給与をもらい → 資産からも給与をもらい → 給与と配当金から支出を払い → 残りを再投資する → 再投資した資産から配当金をもらう → ……
給与や配当金が次の資産を買うための原資となり、お金がグルグルと回っているのが分かるかと思います。
資産は少しずつ増えていき、それに伴い配当金を増やすことも可能です。
そして注目して頂きたいのは、給与収入は15万円で生活できるということです。
投資家になり配当金が10万円/月入ったら、給与の水準を下げても生活できます。
資産からの収入は自分が働かなくても入る収入なので、時間的な自由が生まれます。
そして、この状態に達することができれば、以下のような心理的な自由が生まれてきます。
・やりたくない仕事はしなくてもよい
・好きなことを仕事にしやすくなる
・自由な時間が増える
給与の水準は下げてもいいのですから、残業や長時間労働をする必要はありません。
職場がそれを許さない環境なのであれば、転職すればいいだけの話です。
この心理的な自由はあなたの『人生の自由度』を大きく上げることができます。
では、『どれぐらいの金額を』を『どれぐらいの運用益』で運用すれば10万円/月の配当金を受け取ることができるのかというと…
『3,000万円』を『年4%の利回り』(= 3,000万円 × 0.04(4%) ÷ 12ヵ月)
で運用することで10万円/月の配当金を得ることができます。
そして元本の3,000万円を積立てるには
・月12万5千円の積立て20年、4%の複利なら14年9ヵ月※1
・月17万円の積立てで15年、4%の複利なら11年7ヵ月※1
・月25万円の積立てで10年、4%の複利なら8年5ヵ月※1
※1これらの計算は楽天証券等の証券会社サイトでも計算できます。
で達成できます。
難易度はグッと上がりますが、上記の金額を積み立て、4%の利回りで運用できれば、人生の自由度は大きく上がります。
給与収入のみに頼らず、人生の自由度を上げることができるのであれば、チャレンジのしがいはあるのではないでしょうか。
『経済的自由』を得るために必要な金額と方法
もし、生活に困らないだけの収入が毎月入ってきたら、どんなことをして過ごしたいですか?
もし今やっていることが、人生においてやりたいことであるなら、あなたは幸せです。
今の生き方があなたにとってベストでしょう。
投資をする必要もないのかもしれません。
もし違うのであれば、少し考えてみて下さい。
お金を稼ぐための仕事をしなくても良いのなら、どんな人生を過ごしたいか。
大切な人と過ごす時間を大事にしたい
好きなことをして人生を過ごしたい
社会に貢献したい
自由に旅をして過ごしたい
もしも、運用益や配当で生活に必要なお金をまかなうことが出来たら、自分にとって大切なものを最優先にした人生を送ることができます。
上記の例のように、生活支出を20万円以下に抑えることが出来れば、
『6,000万円』を『4%の利回り』
で運用することで20万円/月の運用益を得ることができ、経済的自由を達成することができます。
そして6,000万円を積立てるには
・月12万5千円の積立て40年、年4%の複利なら23年11ヵ月
・月17万円の積立てで30年、年4%の複利なら19年6ヵ月
・月25万円の積立てで20年、年4%の複利なら14年9ヵ月
で達成できます。
かなり困難な金額目標ではあるものの、決して不可能ではありません。
若いうちにガンガン稼いで早期にリタイヤすることを『Fire:Financial Independence Retire Early』と言います。
Fireムーブメントは欧米を始め日本でも聞こえ始めています。
Fireを達成するには、若いうちから人的資本の価値を高め、お金を稼ぎ、投資に回すという習慣が非常に重要です。
現在の収入では目標額が達成できない場合はスキルを身に付けて収入を増やすこともチャレンジしても良いかもしれません。
20代の早い時点で毎月10万円以上を運用に回すことが出来れば、
30代後半では『好きなことを仕事にできる人生』を手に入れ、
40代後半では完全にリタイア出来るかもしれません。
もしも金銭的に自由な人生を送りたいのであれば、努力してみる価値はあるのではないでしょうか。
現状の『ありかた』を考える
投資の目的が定まったら、現状の『ありかた』を見直しましょう。
『老後資金の確保』のために『5万円/月』の積立てが必要な人はどうやったらその積立額が達成できるかを考えなければいけません。
方法としては『収入を増やす』か『支出を減らす』しかありません。
『ない』状態から『ある』状態に持っていくためには、何かを捨てなければなりません。
そのために自分の人生の『ありかた』を見直す必要があります。
自分には『何が大切で』『何がいらないのか』を区別し、
いらないものは捨てなければいけません。
普段の買い物でも人生の目的に寄与するかを判断材料として『支出の最適化』をする必要があります。
目的や目標が明確であれば、『何をやめて』『何を始めるべきか』の選別がしやすくなります。
あなたの投資の目的、目標はなんでしょうか。
簡単なことから始めてみましょう。
毎朝コンビニでコーヒーが必要でしょうか。
ポットでコーヒーを持っていけばかなり安く済みます。
通販でペットボトルの水を買えば1本40円もかかりません。
会社の飲み会、本当に必要でしょうか?
その1つ1つの選択が今後の人生を大きく変えます。
To get the Liberty!!
Written by Tametomo Itsuki.