全ての長期投資家が『売り』の技術を学ぶ必要がある理由。資産に保険をかけないのは危険です。
全ての長期投資家は『売り』の技術を学ぶ必要があります。
なぜ長期投資家が短期トレードを知る必要があるかと言うと、長期の『買い』だけでは資産のリスクヘッジができないからです。
リーマンショック後の2010年からは一貫して上昇相場だったので、この勢いが続いて行くように思いがちですが、必ずしもそうはならないかもしれません。
過去を振り返ってみると2000年~2009年は投資家、特に米国投資家にとってはヒドイ時期でした。
長期投資で2000年に参入してこのようなチャートになったら10年間耐えられるでしょうか?
以下はS&P500にインデックスしたETFであるSPYのチャートです。
(Date RangeをAllにすると全ての期間が見れます)
1997年~2012年が大きなレンジ相場であることが分かります。
この時期に買って株価が上がることを祈りながら淡々と入金を続け、この10年を乗り切れる人がどれだけいるでしょうか?
2000年に株式投資をはじめたら、暴落して、耐えて耐えて、ようやく持ち直してきたところでリーマンショックです。
これでは離脱者が増えるのは当然です。
後から見れば『この時期に耐えて買い増しをすることが最良だった』と言うのは簡単ですが、実際にできた人は僅かだったはずです。(だからこそこの時期を買い増しで耐えた長期投資家諸兄は尊敬します)
このような相場に耐えるには強い信念、確信がないと耐えられません。
暴落は必然的に訪れる、長期のレンジ相場もありうることを考えると、株価が上がることを祈るだけの戦略は必ずしも正しくありません。
であればどうすれば良いかというと、『売り』で長期投資をリスクヘッジする方法を学ぶのが良いです。
ここで言うリスクヘッジとは『資産に保険をかける』という意味です。
管理人は
『10年間のマイナスリターンに耐える』ための忍耐力を鍛えるより、『売りによるリスクヘッジでプラスリターンを維持する』技術を鍛えることが良いと思います。
ただし、訓練が必要なのは言うまでもありません。
今回は『長期投資家が短期トレード?』『どうやって資産に保険をかけるの』←こういった疑問を解決します。
もくじ
資産に保険をかけないのは危険
大きな資産を買う時やリスクを伴う行動をする時は保険をかけるのが普通です。
例えば、家を買う際には万一の不測の事態を想定して保険に入ります。
生命保険や火災保険、地震保険がそれにあたります。
保険をかけていない状態で火事にあったら再建は難しいでしょう。
保険があるからこそ、火事にあっても再び住むところを確保できます。
また、車を購入したり、運転したりする場合は保険に入るでしょう。
事故にあった際に全額自己負担をしたら損失額は莫大になってしまいます。
このように保険は資産の安全性を確保するために必要なものであることは周知の事実です。
しかし、資産運用に関しては大きな資産をリスクにさらしているにも関わらず、保険をかけている投資家は稀です。
なぜでしょうか?
市場全体に投資をしている場合、時に資産が半分になってしまうこともあります。
3割程度の損失であれば、10年に1度以上の頻度で訪れています。
長期投資では『ほったらかし』が流行っていますが、このような市場の環境で無保険運用は危険です。
残念ながら『投資保険』なるものは存在しません。
従って投資家は自身で資産に保険をかける必要があります。
『面倒くさい』『難しそう』なのは重々承知です。
しかし、一生続く収入源を得るための努力としてはやる価値はあります。
『下落に耐える忍耐力』を鍛えるよりも、『下落に備える投資力』を身につけた方が良いと思います。
以降では具体的に『資産への保険のかけ方』について説明していきます。
『売り』で資産に保険をかける
市場全体が上昇している上昇トレンドは長期投資は効力を発揮しますが、一時的な調整や暴落などの下落局面は現物の資産のみで運用している場合は暴落時も眺めているしかありません。
このような場合には『売り』が有効になります。
なぜ『売り』が保険になるかというと、現物資産の価値が下がる一方で売りポジションの価値は上昇するからです。
これは短期トレードを使った保険のかけ方です。
一時的な下落の兆候を掴んで『売り』を入れることで資産のリスクをヘッジすることができます。
この保険のかけ方を実施する前に『売りとは何か』ということを理解することが必要になります。
『買い』は買った値段よりも株価が上がれば利益になります。
『売り』は買いとは逆で、買った値段よりも株価が下がると利益になります。
この特徴を理解して保険をかけることで、資産のリスクを軽減することができます。
この『売り』ができるのは『CFD』、『信用取引』や『先物(mini含む)』です。
CFDや信用取引、先物ではレバレッジがかけられるので、例えばレバレッジが10倍なら10万円の資金で100万円の取引が可能になります。
この仕組みによって少額の資金でリスクヘッジが可能となります。
例えば以下の2つの例を考えてみましょう。
- 株式100万円のポートフォリオを運用していて株価が30%下落した。
- 株式90万円に10万円はCFDで売りを入れていて株価が30%下落した。
この場合、資産はどのようになるでしょうか。
株式のみのポートフォリオの場合は株式が下げた分がそのまま損失になっています。
一方で売りを入れている場合は、売りの利益が株式の下落分を補っていることが分かります。
ここで『売り』のポジションはレバレッジがかかっているので、少額で買いポジションをヘッジできています。
このように資金の一部を現金で保有し、必要に応じて『売り』をいれることによって小さい資金でポートフォリオのリスクをヘッジすることができます。
ただし、売りを入れっぱなしにしていると意図しない方向に株価が動いた場合に上昇の利益を享受できないので、ロスカットを小さめに入れてこまめにカットすることが重要になってきます。
『それじゃあ株式が上昇した時に損をしてしまうじゃないか!』
と思うかもしれませんが、その通りです。
この細かい損失は『保険料』として割り切った方が良いです。
そうやって細かにロスカットしたり、利益を確定しながらコツコツとやっていると、いずれ『ドカン』と大きな調整や暴落に直面することになります。
そこが取れれば、一気に今までの保険料を回収することが可能になり、資産の棄損を最小限にしながら買い増しの資金を調達することができます。
ちなみに管理人は保険のつもりでトレードをしていますが、トレードの年間収支はプラスになっています。
つまり保険の運用益が入っていることになります。
こうしたトレードはリスクが大きいように思われがちですが、正しくリスクを理解すればコントロールできます。
商品にもよりますが、CFDであれば2万~3万を1ロットとして取引が可能です。
この際に150pipsをロスカットし指定しておけば1回のトレードでの損失は1,500円です。
ロスカットを確実にしていれば、リスクは限定的です。
トレードは長期投資家には無用のように思われがちですが、このようにリスクを適切に理解し保険として取り組むことで、ポートフォリオの安全性を確保することができます。
投資の目的に応じた投資手法を考えよう
全ての長期投資家は『売り』の技術を学ぶ必要があります。
なぜなら『売り』によって長期の買いポジションに保険をかけられるからです。
この話をすると、『インデックス投資のバイアンドホールドが最適解』という反論をされますが、それはその通りです。
ただし、インデックス投資のバイアンドホールドが最適解になり得るのは、20年~30年といった長期に渡ってバイアンドホールドが成立する場合です。
その間には資産が半分になるような暴落や10年に渡って全然資産が増えないレンジ相場も訪れます。
このようなことを前提とするならば、少なくとも管理人にとっては難しい手法ではあるものの、バイアンドホールドは最適解です。
一方で保険をかけることはリターンを棄損します。
長期で考えれば保険料は高くつくかもしれません。
しかし、保険はリターンを最大化するためにかけるのではなく、リスクを最小化するためにかけるものです。
リターンを最大化したい、というニーズとは離して考えたほうが良いです。
リターンを最大化するか、リスクを最小化するかの選択は資産運用の性格を大きく左右します。
しっかりと投資の目的に沿った運用ができるように手法を考えましょう。
前者はリスクを大きくとって積み立て投資をするとドルコスト平均法の効用を最大限に活かせます。
一方で後者はリスクを最小に抑えることで、複利効果を最大限に活かすことができます。
どちらが自分に適しているかじっくりと考えましょう。
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Written by Tametomo Itsuki.